従業員50人未満でも必要?中小企業のストレスチェック

生徒01

会社で働く人が50人より少なくても、ストレスチェックってやらなきゃいけないの?

先生01

人数は営業所みたいな働く場所単位で数えるのでごサル。
例えば本社に50人以上いて、営業所に35人しかいなかったら、営業所はやらなくていいのでごサル。

生徒03

ふーん。
同じ会社なのに、人数によってやる・やらないが出てくるんだね。

人数が少ないとラッキーだね!

先生02

ラッキーではないのでごサル!
心の健康診断はやったほうがいいのでごサル!

生徒01

ウキッ。そうでした。

でもさ、やらなくていいならやらないんじゃない?
やらなくていいんだし。

先生01

正しくはやらなくていいのではなく『やらなくてもいいけれど、やる努力はしてください、できるだけやりましょう』というものでごサル。
これを努力義務というのでごサル。

生徒02

ドリョクギム?
努力って…義務なの?
義務なのに、努力なの?意味わかんねー!

先生01

できなくても仕方がないけれど、『できるように頑張らないといけませんよ』という意味でごサル。

同じグループなのに、本社はやって支社はやりませんというのはおかしいのでごサル。
全員受けられるように、会社も頑張りなさいということなのでごサル。

生徒03

ふーん…そういうことね。
確かに人数が少ないところでもストレスを抱えている人がいるかもしれないもんね。

全員受けることがベストだよね!

従業員50人未満の事業場の対応

本社は50人以上の従業員、支店は50人未満の従業員がいる場合

ストレスチェック制度の実施対象です。
実施義務対象かどうかの判断は事業場ごとになりますから、50人未満しか従業員がいない支店は法律上では実施義務はありません
努力義務の対象です。
会社全体の実施
ストレスチェックの本来の目的は、メンタル不調の一次予防と、従業員のストレス状況の改善とより良い労働環境であるための職場環境の改善にあります。
本社ではストレスチェック制度の対象だから実施し、支店は努力義務であるから実施しないという対応をとると、本来のストレスチェック制度の目的や事業者がしたストレスチェックの実施表明の内容と大きく離れてしまう結果になります。
努力義務の事業場がある場合は、できるだけストレスチェックを実施できるように配慮しなければいけません。

50人未満の会社や事業場の場合の対応

実施対象ではありませんので、必ずしも実施しないといけないことはありません。
しかし、50人未満の従業員しかいない事業場であっても、ストレスチェック実施の努力義務はあります。

努力義務とは

努力義務
事業者の努力によって実施するということであって、実施しなくても良いということではありません
従業員の人数や会社の規模に関わらず、事業者には安全配慮義務というものがあります。
従業員の心身の健康や安全などに配慮しなければいけないというものです。

もし、従業員からメンタル不調者が出た場合、ストレスチェック実施の努力義務を怠ったと判断された場合には、安全配慮義務違反になる可能性もあります。
従業員のメンタル不調の予防に努めるべく、50人未満の従業員のいる事業場であってもストレスチェックをできるだけ実施しましょう。

50人未満の事業場で実施する場合の注意点

実施する場合にはさまざまな注意点があります。
そもそも、衛生委員会の設置は常時使用する従業員が50人以上いる事業場であることが労働安全衛生法により規定されています。
そのため、50人未満の従業員しかいない事業場ではこの衛生委員会が設置されていません。

実施に関しては、個人情報などの概念からもストレスチェック実施に関する法令や指針に従って行う必要があります。
衛生委員会が設けられていない場合は、チェックの実施や医師の面接指導などに支障をきたすこととなります。

その様な場合は各都道府県にある「地域産業保健センター」の利用が望ましいと推奨されています。

また、50人未満の事業場でストレスチェックを実施した場合、集団分析時に部署ごとの人数が少ないことから個人が特定されやすくなります。
その場合においては、個人を特定や推測できないような複数の部署でまとめて集団分析を行うか、もしくは集団分析は行わないというふうに配慮する必要があります。

ストレスチェック実施後の集団分析は、必ずしも義務ではありません
個人情報の保護を最優先し、各事業場にあった方法を導入することが大切です。

50人未満の事業所でストレスチェックを行うメリット

50人未満の事業所で行うメリット

  • 従業員のメンタル不調を未然に防ぐことができる
  • 休職に至る従業員数が減少する
  • より働きやすい職場環境の改善へつなげること

これは、50人以上の従業員がいる事業場のストレスチェックのメリットと同じです。

裁判になったときの備えになる

万が一、従業員がメンタル不調に陥り、会社を相手に裁判所に労災認定や損害賠償請求等で訴えでた場合、ストレスチェックを実施していたかどうかによってもその裁判の結果は大きく変わってきます。
事業者には、従業員の心身の健康と安全を守る安全配慮義務というものが法律により、定められています。
努力義務ではあっても、ストレスチェックを実施していなかったということであれば、安全配慮義務違反に該当してしまう可能性があります。

従業員50人未満の事業場の助成金

事業場の助成金
ストレスチェック制度の導入を促進させるために、従業員が50人未満の事業場でストレスチェックを導入した場合、助成金が出る場合があります。

従業員が50人未満の事業場で助成金を受給するには、事業場がある都道府県にある従業員数が50人未満の事業場が複数集まり、一緒にストレスチェックを実施し、合同で産業医を選任し面接指導などを受けることで助成金が支給されます。
助成金の受給には様々な条件があります。

助成対象と助成金額

年に1回、1人の従業員に対して上限を500円とし実費が助成されます。

また、ストレスチェックに関する産業医の活動、つまり、ストレスチェック実施に対する助言や面接指導、集団分析や面接指導に基づく事業者への意見陳述について、年3回、上限1回25,000円とし、1事業場あたり産業医活動1回につき実費が助成されます。

受給条件

  1. 常時使用する従業員が50人未満の事業場であり、同一都道府県内にある2箇所から10か所の複数の事業場が集団でストレスチェックを実施すること
  2. その複数の事業場が、合同でストレスチェック実施に関わる産業医を選任し、ストレスチェック実施に関わる産業医活動の全部または一部を任せること
  3. ストレスチェック実施に関して、実施時期、実施者が決定していること
  4. その複数の事業場すべてが、ストレスチェックを実施すること、またストレスチェックの結果に基づき面談指導を実施すること
  5. 集団を構成する事業場の代表者と、選任した産業医が同一人物ではないこと

以上、5つの受給条件を満たす場合のみ、助成金の対象となります。

従業員50人未満の事業場の助成金申請の流れ

まず産業医と複数の事業場が、合同産業医契約を結びます。
その後、一緒にストレスチェックを実施する予定の事業場が、「小規模事業場団体登録届」を記載し同時に、労働者健康福祉機構に提出します。

実施に関して産業医から助言を受け、産業医の指示のもとストレスチェックを実施します。
ストレスチェックの結果に基づき、従業員から申し出があった場合には、産業医の面接指導を受けてもらいます。
その面接指導の結果により、事業者は産業医より意見陳述を受けます。
そして産業医の集団分析の報告を受け、産業医へ「ストレスチェック実施報告書」「産業医活動報告書」の作成を依頼します。

それぞれの事業場で、申請書類がそろったら、申請書類を労働者健康福祉機構に提出します。
その後審査を受けて、需給条件を満たしていればそれぞれの事業者に助成金が支給されるという仕組みです。