ストレスチェックの集団分析の目的と活用方法

生徒02

ストレスが溜まっていないって判断された人は、ストレスチェックを受けた後は何もしなくていいの?

先生01

個人では何かをすることはないのでごサル。

ただしみんなの結果を見て、もっと働きやすくできないか?というのを考えるのでごサル。

生徒01

ウキッ?どういうこと?
わかんねー!

先生01

ストレスが高くないといっても、みんな何らかのストレスは感じているはずなのでごサル。
会社全部ではなく、営業課・経理課など小さな集まりで見て、もっとストレスなく働けるようにできないかを考えるのでごサル。

もっと働きやすい配置はないか?誰か1人に仕事が集中してないか?など、もっとこうしたら今よりも働きやすくなるという点がないかを見直すのでごサル。

生徒03

わかった!
同じまとまりごとに見直しをするんだね。

先生01

そうでごサル。
まとまりの問題として考えなければいけないので、誰が・何で困っているということがバレてはいけないのでごサル。   

それでも人数が少ないとどうしてもわかってしまうものでごサル。
まとまりが10人より少ない場合は、バレてもいいですという意思表示のサインをもらうのでごサル。

生徒01

ウキィー。
『田中さんがコピーが遠くてストレスなんだって!』とかバレるかもしれないってこと?

先生03

もっと他の例えはないのでごサル?
そんな直接的な感じではないのでごサル。

先生01

そもそもストレスチェック自体がプライバシーを守って行われるものでごサル。
人数が少ないと誰の意見かがわかってしまう可能性が高くなるからというものでごサル。

生徒03

ウキウキ。
ストレスが溜まっていなくても、もっと働きやすい職場になったら嬉しいし、ウキウキ働けるよね!

集団分析の目的と単位

ストレスチェックにおける集団分析の目的は、集団ごとのストレス要因を少しでも減らすことで、従業員のメンタルヘルスの不調のリスクを集団として少しでも減らすというところにあります。

法律でもストレスチェック実施後の集団分析は、義務ではないとされていますが、努力義務となっています。
集団分析の目的
この制度実施の目的は、従業員のメンタルヘルス不調の一次予防にあります。
チェックを実施し、高ストレス者に面接指導をすれば、個々の従業員のストレス値は減るかもしれません。

しかし、職場の環境にストレス要因があった場合、いくら面接指導をしたからといっても、問題の解決にはなっていません。
集団分析を実施し、職場の環境改善を行うことも、従業員のメンタルヘルス不調の一次予防につながるのです。

集団分析の単位

労働安全規則には、同じ職場環境を共有し、業務内容において一定のまとまりをもつ部署となっています。
実際には、衛生委員会で決定した職場、部署ごとの分析になります。

ただし、1単位が10人以下の集団の場合は、その結果から個人が特定される可能性があるため、集団分析を実施するにあたり、全員の同意を得る必要があります

努力義務とは?

努力義務とは、しなくてもいいということではありませんし、できればした方がいいというものでもありません。
事業者の努力によって、実施してくださいという解釈です。

何らかの事情や理由により、事業者の努力によっても実施できない場合を除き、集団分析は原則実施しましょう。

集団分析の方法

集団分析は、ストレスチェックの実施者が行います。

ストレスチェック質問票の項目

ストレスチェックの質問

  1. 仕事のコントロール
  2. 仕事の量的負担
  3. 上司の支援
  4. 同僚による支援

上記項目に着目して集計をし、結果からストレス要因を読み取っていきます。

また、厚生労働省が標準的な項目としている質問票を使用して、ストレスチェックを行う場合は、「仕事のストレス判定図」というものを用いて集団分析を行うことができます。
このツールは、厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます

仕事のストレス判定図は、ストレスチェック質問票の項目にある4項目のストレス度が判断できるものです。
値を全国平均と比較することで、ストレス判定図よりもさらに詳しく、集団分析を実施することができます。

全国平均と比較する

ただ単にストレス値が高いということがわかるだけでなく、他の事業場と比べて当該事業場が特別ストレスが高いのか、低いのかを知ることができます。
全国平均よりも、ストレス値が高い場合は、職場の労働環境を改善していく必要があることが一目瞭然です。

集団分析の注意点

集団分析の注意点
集団分析を実施するにあたり、個人ごとの結果は公表されることはないため、受検者から同意をとる必要はありません。
しかし、1つの集団に含まれる従業員の数が10人以下の集団の場合は、個人が特定されるおそれがあるため、同意をとる必要があります。

この場合の10人とは、1つの集団全員の人数ではなく、その集団でストレスチェックを受検した人数のことをさします。
1つの集団に15人の従業員がいるが、そのうちストレスチェックを受検した者が10人であった場合は、集団分析を実施するにあたり、同意をとる必要があります。

全員の同意が得られなかった場合は、この集団に限ってはその集団分析の結果を事業者に報告することはできません。
その場合は、ほかの方法で集団分析を実施することが望ましいです。

例えば、集団ごとで各項目の平均値を出し、その平均値から判断する方法もあります。
この方法であれば、個人を特定できる情報がないため、10人以下であり、同意が得られなかった場合でも可能です。

そういった万が一に備えた集団分析の方法は、事前に衛生委員会で話し合っておく必要があります。
また、集団分析の結果をどこまでの範囲で共有するかも、きちんと衛生委員会で話し合い、決定しておくことが必要です。

集団分析の結果の保存方法と保存年数

集団分析の結果は、事業者が記録し、5年間保存しておくことが望ましいとされています。
ただ、保存しておくのではなく、毎年のストレスチェックの集団分析の結果と比較し、再考していくことができるので、
次年度以降のストレスチェックにも役立ちます。

ただし、集団分析とはいえ、結果を共有できるのは衛生委員会で事前に決定した範囲のみなので注意が必要です。

職場改善のために結果を活用する

集団分析で得られた結果をもとに、職場環境改善を行います。

職場環境改善とは

職場環境改善

  • 職場のレイアウトを変更する
  • 労働時間の見直し
  • 作業方法の見直し
  • 組織の見直し
  • 人間関係の改善

上記の様な対処が必要です。
たとえば、時間外勤務が多いようであれば、作業する職場の体制を見直しする、上司や同僚が協同する、分担する、作業効率を考えた職場のレイアウトに編成し直すなどが挙げられます。

また、仕事の役割や責任などを明確にする、昇進の機会や部下に意思決定の機会を与えるなど、従業員のやる気を刺激するような対策も必要です。